省エネ性能に優れているなど、一定の条件を満たす住宅の取得やリフォームをすると商品交換などに使えるポイントが付与されるのが、グリーン住宅ポイント制度です。住宅の取得やリフォームを補助する制度は数多くありますが、実は、グリーン住宅ポイント制度と併用できる制度と、併用できない制度があります。
併用できる補助制度がどれかを知っておけば、よりお得な住宅取得やリフォームを期待できます。そこで今回は、グリーン住宅ポイント制度と併用できる補助制度について解説します。
グリーン住宅ポイント制度と併用できる補助金制度
国による各種の補助制度のうち、補助対象が重複するものは、原則としてグリーン住宅ポイントと併用できません。地方公共団体の補助制度については、国費が充当されている制度を除いて、原則として併用できます。以下、グリーン住宅ポイント制度と併用できる、主な補助金制度を解説します。
すまい給付金
すまい給付金とは、消費税率の引き上げによる住宅取得の負担を緩和するための制度です。住宅取得の費用の負担を軽減するための代表的な措置である住宅ローン減税は、所得税などの税額を控除する仕組みです。
収入が低いとそもそも税負担が少ないので、減税をしても負担の軽減につながりにくいというデメリットがあります。
そこで、一定以下の収入の世帯に向けて給付金を交付することで、減税では達成しにくい負担の緩和を図ろうとするのが、すまい給付金です。すまい給付金は収入によって給付額が変わるのが特徴です。
住宅に居住していること、収入が一定以下であること、などの条件があります。
住まいの復興給付金
住まいの復興給付金とは、東日本大震災で被災された方を対象に、住宅に関する消費税の負担増加に対応するための措置です。2011年3月の東日本大震災により、多くの世帯が住宅に被害を受けたことで、住宅の再取得や補修の必要が生じました。
一方、2014年からの消費税の段階的な引き上げによって、住宅の再取得や補修にかかる費用負担も増加しています。
そこで、東日本大震災で住宅の再取得や補修が必要になった方を対象に、増税分に相当する金額を給付して負担を軽減するのが、住まいの復興給付金です。
給付金の主な条件は、東日本大震災によって所有していた住宅が被害に遭ったことと、消費税率の8%引き上げ以降に住宅を建築・購入したことです。
外構部の木質化対策支援事業
住宅の外構部(堀や門など)に木塀やウッドデッキなどを使用した場合に、補助金を受けられる制度です。
外構部にウッドデッキなどの木材を使用することで、木質化を促進しようとするのが、事業の目的です。
事業の対象になった場合、構築にかかる費用に補助金が支給されるので、本来よりも低コストで住宅のエクステリアを構築できます。
また、外構部を木質化することで美しい街並みの形成、安全な通学路の確保、生活環境の改善など、住宅の周辺環境が向上するメリットも期待できます。
リフォームの請負工事契約が別の場合に併用できる補助金
住宅をリフォームする場合、住宅(外構部分を含む)のリフォーム工事を対象とする国の他の補助制度については、原則としてグリーン住宅ポイント制度を併用することはできません。
例外として、グリーン住宅ポイント制度の対象であるリフォーム工事の請負契約と、国の他の補助制度の対象であるリフォーム工事の請負契約が別の場合は、併用が可能です。そこで、請負工事契約が別の場合にグリーン住宅ポイント制度と併用できる、代表的な補助制度について解説します。
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化による住宅における低炭素化促進事業
ZEH(ゼッチ)とは、以下の特徴を備えた省エネ住宅のことです。
- 外皮(外壁や屋根など、住宅の外周部分)の断熱性能等が大幅に向上している
- 高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ、大幅な省エネルギーを実現している
- 再生可能エネルギーの導入により、年間の一次エネルギー消費量の収支ゼロを目指している
CO2を大幅に削減するための手段の1つとして、ZEHの機能を備えた住宅リフォームを促進しようとする制度です。ZEHの要件を満たして住宅をリフォームし、かつ特定の設備を設置した場合に、補助金の対象になります。
次世代省エネ建材支援事業
次世代省エネ建材支援事業とは、省エネに役立つ建材を使用して住宅をリフォームした場合に、助成金を支給する制度です。
事業の対象になる代表的な建材は、省エネの促進が期待される高性能断熱材や、快適性の向上に役立つ蓄熱・調湿材などがあります。
住宅リフォームに補助金が支給される事業はいくつかありますが、住宅に住みながらでも施行しやすいのが、次世代省エネ建材支援事業の特徴です。
住宅・建築物安全ストック形成事業
住宅・建築物安全ストック形成事業とは、住宅や建築物が最低限備えておくべき安全性を確保するための事業です。
安全性の確保に役立つリフォームをした場合に、補助金が支給されます。事業の対象となる主な住宅リフォームは、耐震化やアスベスト対策などです。
戸建住宅の耐震化の例としては、筋交い(柱と柱の間に、斜めに補強材を入れること)や、構造用合板(建物の構造において重要な、壁や床などに用いられる合板)による補強などがあります。
アスベスト対策としては、アスベストを直接除去したり、溶剤を吹きかけて飛散したりしないようにする封じ込めなどです。
請負工事契約と工期が別の場合に併用できる補助金
補助制度によっては請負工事契約が別なだけでなく、工期(リフォームを開始してから完成するまでの期間)も別の場合にのみ併用できる制度もあります。そこで、リフォームの請負工事契約が別なだけでなく、工期も別の場合にのみ併用できる制度を解説します。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
長期間にわたって高性能を維持できるような住宅などにリフォームした場合に、補助金が支給される事業です。
複数世帯が同居しやすくなるリフォームや、子育てをしやすい環境整備のためのリフォームなども補助の対象です。
補助の対象となるリフォームの範囲が広い反面、事前の検査や施工後のメンテナンス計画などの条件を満たす必要があります。
域型住宅グリーン化事業
長寿命など、特定の優れた性能を備えた住宅にリフォームする場合に、補助金が支給される事業です。補助の対象となる住宅のタイプは、以下の4種類となります。
- 長寿命型(耐久性に優れた、認定長期優良住宅であること)
- ゼロ・エネルギー型(住宅の一次エネルギー消費量が、概ねゼロであること)
- 高度省エネ型(認定低炭素住宅または性能向上計画認定住宅であること)
- 省エネ改修型(建築物エネルギー消費性能基準に相当する性能であること)
補助金を受けるには、認定された業者(主に地域の中小工務店が中心)にリフォーム工事を依頼する必要があります。
グリーン住宅ポイントと併用できる補助制度を活用しよう
国の補助制度のうち、補助対象がグリーン住宅ポイント制度と重複するものは、原則として併用できません。一方、地方公共団体の補助制度であれば、国費が充当されているもの以外は、原則として併用できます。
グリーン住宅ポイント制度と併用できる主な制度として、消費税の負担を軽減するすまい給付金や、外構部の木質化を促進する支援事業などがあります。グリーン住宅ポイント制度とは異なる請負工事契約が必要など、各種の補助制度には条件があるので、きちんと確認しつつ活用していきましょう。